長年空冷を使ってきて、ついに立派な水冷構成を購入して設置しようとしている。でも待ってください…水冷のほうが空冷より優れているから、サーマルペーストは要らないのでは?…実はそうとも限りません。水冷は一般的に空冷より効率的ですが、サーマルペーストは空冷システム固有の部品ではないのです。どんな冷却システムでも、サーマルペーストは最大限の性能発揮を助けてくれます。

その理由を読み進めてください。

水冷はどうやってCPUを冷却するのか?

サーマルペーストの話に入る前に、水冷システムの仕組みを確認しておきましょう。空冷に馴染みがあれば、CPUが発する熱を放散するためには、まずヒートシンクがCPUから熱を吸い出し、表面積の広い大きなアルミプレートに伝え、次に媒体を使って放散する、という流れだとご存知でしょう。

空冷の場合、媒体はケース内の空気です。ファンが片側から熱気を押し出し、もう片側から冷気を取り込みます。こうしてPCは新鮮な空気を循環させ、CPUから出る熱を放散するのです。

水冷のコンセプトも似ています。ただし、空気の代わりに水(クーラント)…それに少しの空気を使います。水冷では、CPUはヒートシンクではなくウォーターブロック(ベースプレートとも呼ばれます)に取り付けられます。名前は違っても機能は同じで、CPUの熱を吸収します。ただしそこから先のプロセスが異なります。熱を大きな表面積に引き込むのではなく、水に伝えます。そして水は、ファンに接続された高効率ラジエーターに循環させられ、急速に冷やされ、再びウォーターブロックに戻って2周目に入ります。

水をより広い表面積(ラジエーター)に分散させることで、従来の空冷と比較して、全体的な冷却性能の向上とファン騒音の低下が両立します。(「水冷」や「水」という言葉を水冷システムの媒体の意味で使いますが、グリコールや誘電性流体などの他の冷却液も使えます)

水冷ではサーマルペーストは必須?

結論:はい、必須です。

多くの人はサーマルペーストを「取るに足らない」存在と誤解し、もっと高価な部品を使えば不要と思いがちです。実際は、どんな部品を使っていてもサーマルペーストは必要です。水冷の領域では、AIOかカスタムループのどちらかを使うことになります。

AIO

AIOは「All-In-One」の略で、ご想像の通り、箱から出してすぐに使えるものが一通り入っています。AIOにはウォーターブロック、ポンプ、ラジエーター、チューブ、ファン、フィッティングが組み上がった状態で含まれており、各部品をいじる手間なく即設置できます。

AIO構成は水冷初心者に適しています。フィッティングが外れてケース内に水が飛び散るリスクを避けたい人に向きます。AIOでもバルブの詰まりやフィッティング外れのリスクはゼロではありませんが、初心者ならリスクを大幅に下げられます。AIOはRGB対応のものも多く、見た目を手軽に整えるにも最適です。

カスタムループ

AIOを2つ並べると、細部を除いてほぼ同じ見た目になります。小さなウォーターブロックとポンプ、2本のチューブがラジエーターと取り付けたファンにつながる構成です。ファンの数やチューブの見た目などは多少異なりますが、基本部品は同じです。冒険心があって型破りなものを作りたいエンスージアストなら、カスタムループを組みたくなるでしょう。

カスタムループはAIOと基本的に同じ部品(ウォーターブロック、ポンプ、チューブ、ファン、ラジエーター、フィッティング)を使います。しかし各部品を好みで選べます。カスタムループはハイエンドPCでよく見られます。/r/pcmasterraceで4000 upvoteを集めるようなやつです。当然ながら、単にAIOを取り付けるよりも高い専門知識が求められます。各部品を選び抜いてきちんと機能するよう組み立てる必要があり、言うなればもう1台小さなパソコンを組み立てるような作業です。

どちらを選んでも、サーマルペーストの役割は同じです。先述の通り、サーマルペーストには2つの役割があります:すき間を埋める役割と熱伝導体の役割です。空冷ビルドでは、サーマルペーストはCPUとヒートシンクの間に塗られ、CPUからの熱が自由に流れ、ヒートシンクとファンで放散されます。

水冷ビルドでも、サーマルペーストの機能は同じです。ただしCPUとヒートシンクの間ではなく、CPUとウォーターブロックの間に塗布されます。こうしてサーマルペーストがCPUとウォーターブロックの表面の隙間を埋め、熱が水へ効率的に伝わるようにします。

なぜ水冷では空冷以上にサーマルペーストの品質が重要なのか?

タイトルに惑わされないでください。サーマルペーストは空冷でも水冷でも同じくらい重要です。水冷でより重要と言えるのはコストに対してです。空冷には期待される効率の標準があります。50ドルの基本的な空冷構成なら、50ドル分の冷却効果を期待するでしょう。しかしAIOに300ドル出したなら、それだけの見返りを期待するはずです。優れたサーマルペーストがなければ、その水準には到底届きません。

水冷構成がどれほど良くても、サーマルペーストが不十分ならば、熱はCPUとウォーターブロックの間に閉じ込められてしまいます。

水冷システムでのサーマルペーストの塗り方

水冷システムでのサーマルペーストの塗り方は、空冷と同じくらい簡単です。違うのは、ヒートシンクの代わりにウォーターブロックを使う点だけです。

1. パソコンの電源を切り、背面からすべてのケーブルを抜きます。

2. (サーマルペーストを交換する場合)ウォーターブロックをCPUに固定しているネジを外し、静かに持ち上げます。

3. イソプロピルアルコールとペーパータオルや綿棒で古いサーマルペーストを拭き取ります(最良の結果を得るには、Kooling Monster KLEAN-01 専用設計サーマルペーストワイプを使用)

4. アルコールが蒸発するまで2分待ちます。

5. CPU上部にエンドウ豆サイズのサーマルペーストを塗布します(他のパターンはこちらを参照)

6. 慎重にウォーターブロックをCPUの上に戻し、所定の位置にネジ留めします。

7. CPUとウォーターブロックの側面から漏れがないか確認します。

8. 漏れがあればサーマルペーストワイプで拭き取ります。

9. ピンに漏れていた場合は、ウォーターブロックのネジを外し、こちらの方法で洗浄して再挑戦します

水冷に興味があるエンスージアストや、これから水冷を始めようとしている方には、楽しめる要素がたくさんあります。水冷はパソコンを冷たく静かに、最高性能で動かすのに最適な方法です。ただし、サーマルペーストは欠かせません。空冷であれ水冷であれ、新しい冷却部品を取り付けるときは必ずサーマルペーストを塗ってください。サーマルペーストなしでは、空冷クーラーは仕事ができず、水冷クーラーも空回り同然です。