パソコンの速度を上げる方法を調べると、パーツのアップグレード(グラフィックカード、プロセッサー、マザーボード、RAMなど)、PC最適化ソフト、内部の埃掃除などを勧める記事がたくさん見つかります。これらの方法にも価値はありますが、見落とされがちな要素が一つあります――サーマルペーストです。パソコンのメンテナンスにおいて欠かせないのに過小評価されがちな存在で、自分では気づいていないかもしれない性能問題に対して、シンプルで効果的な解決策を提供してくれます。

サーマルペーストのメリットを以下でご紹介します。

パソコンが遅くなる原因とサーマルペーストの役割

パソコンはずっと同じ速度を保てるように設計されてはいません。ただし、突然動作が遅くなった場合は調査する価値があります。PCがもたつく原因はいくつかあります。

オーバーヒートはパソコンの速度低下以外にも、ブルースクリーン頻発、突然のシャットダウン、グラフィックの不具合など、さまざまな問題を引き起こします。こうした問題は、プロセッサーからの熱が空冷や水冷で十分に排出されず、他のコンポーネントが誤動作することで発生します。

これらの問題を解決するには、PCの清掃、冷却システムのアップグレード、そして何より重要なのがサーマルペーストの塗布・塗り替えです。

なぜサーマルペーストが重要なのでしょうか?その主な役割は、CPUから冷却システムへ熱を伝え、そこで排出させることです。冷却システムがどれだけ高性能でも、熱をそこまで届けなければ意味がありません。サーマルペーストは、CPUからヒートシンクへの熱伝達を助けるという重要な役割を果たします。

CPUオーバーヒートの危険性とPCへの影響

CPUのオーバーヒートは深刻な問題です。CPU自体だけでなく、周囲のコンポーネントにも損傷を与える可能性があります。特にマザーボードはCPUより熱耐性が低く、大きなリスクにさらされます。

通常、CPUが発する熱はヒートシンクやウォーターブロックで分散された後、ファンや水冷システムによって排出されます。でも、熱が直接逃げる経路(サーマルペーストと冷却システム)を確保できないと、マザーボードに逆流してしまいます。

マザーボードに過剰な熱が伝わると部品が損傷し、機能不全を引き起こし、最悪の場合マザーボード自体が使えなくなります。これを防ぐため、CPUとマザーボードは通常、温度が危険な水準――一般的には90°C以上――に達すると、アンダークロック(性能を下げる)またはシャットダウンを行います。

冷却問題を解決せずに再起動を繰り返すと、PCが永久的に損傷する恐れがあります。だからこそ、サーマルペーストの使用を含め、CPUオーバーヒートのリスクからパソコンを守る適切な冷却機構を整えることが重要です。

サーマルペーストとは何か?CPUオーバーヒートをどう防ぐのか?

サーマルペーストは、パソコン内で熱伝導を強化する役割を担います。発熱源から冷却システムなど、安全に熱を逃がせる場所へと熱を伝達するのが主な役目です。これを実現するのが、CPUとヒートシンクの間の隙間を埋めるという働きです。

CPUの表面は滑らかに見えますが、顕微鏡で拡大するとミクロレベルの凹凸や「隙間」がたくさん存在します。サーマルペーストなしでヒートシンクと接触させると、CPU全体の表面がヒートシンクと完全には接触しません。そのため、すべての熱が効率的に伝達・分散されないことになります。

「ヒートシンクを強く押し付ければいいのでは?」と思うかもしれませんが、そうはいきません。重要なのは、2つの表面の間の空間は真空ではなく、空気が含まれているという点です。空気は熱伝導率が低いため、ヒートシンクへの熱伝達を妨げます(熱伝導率:空気(0.024W/mK)vs サーマルペースト(5-10W/mK))。

結局のところ、このプロセスで最も重要なのは、熱をヒートシンクまで届けることです。そこから先は冷却システムが引き受けてくれます。では、実際にどれだけの熱が逃がされるか見てみましょう。

サーマルペーストはどうプロセッサのオーバーヒートを防ぎ、PC性能を高めるのか

先ほども触れたように、CPUのオーバーヒートが続くとマザーボード内部に過剰な熱が発生し、部品の故障や完全な損傷につながります。サーマルペーストはCPUとヒートシンク間の「隙間」を埋めることで、熱がマザーボードに到達する前に効率よく伝達・分散させます。

でも、実際どれくらい効果があるのでしょうか?どの程度の熱が逃がされるのか、それだけの価値があるのか?

私たちは、自社の Kooling Monster KOLD-01 サーマルペースト を使って、その効果を測定する実験を行いました。サーマルペーストを塗っていないPCと、塗っているPCを同じ構成で組み立て、AIDA64で両方をフルロード(最大処理能力)で稼働させました。

テスト構成:

CPU:Intel Core i3-10105F

マザーボード:Asus H510M-E

クーラー:空冷(Golden Field)

メモリ:ADATA DDR4 (8G)

結果の計測には、無料でCPU温度の記録や測定ができるソフト、HWiNFOを使いました。

結果として、サーマルペーストなしの構成は急速に平均温度95°C/200°Fまで上昇しました。この温度が続くと、マザーボードはオーバーヒートを防ぐためにPCをシャットダウンしてしまいます。サーマルペーストなしでフルロード状態のまま再起動を繰り返すと、マザーボードが永久に損傷する可能性があります。

一方、KOLD-01 サーマルペースト を使った構成も温度上昇はしましたが、約77°C/165°Fで安定しました。平均温度で約20%の低下となり、PCを長時間安全に稼働させられます。

PC性能の低下は、ソフトウェア、ハードウェア、マテリアル(素材)の3つの要因から起こります。「ソフトウェア」はメモリを消費するアプリのインストール、「ハードウェア」はパソコンを更新せずに古くなるまで放置すること、「マテリアル」は清掃不足やサーマルペーストの塗り替えを怠ることです。

実験で示した通り、適切なサーマルペーストを使ったパソコンは、使っていないものより確実に低温で動作します。ゲーム、編集、配信、多数のタブを開いたブラウジングを行うユーザーにとって、しっかり機能するCPUは欠かせません。

まとめ

サーマルペーストはCPUの最適な性能維持とオーバーヒート防止に不可欠です。CPUからヒートシンクへ効率的に熱を伝え、損傷リスクを軽減します。Kooling Monster KOLD-01の実験でも温度低下への有効性が示されました。正しく塗布・塗り替えることで、高負荷なタスクでもパソコンを円滑かつ安全に動作させ続けられます。

FAQ

サーマルペーストはCPUを遅くしますか?

いいえ、遅くしません。サーマルペーストの主な役目は、CPUとヒートシンク間の熱伝達を強化することで、むしろスロットリングを防ぎ、性能向上に貢献します。

サーマルペーストはPCを速くしますか?

サーマルペーストはCPU温度を低く保つことで、オーバーヒートやスロットリングによる動作低下を防ぎ、間接的に性能向上に寄与します。

サーマルペーストの交換でノートPCは速くなりますか?

古くなったり効果が落ちたサーマルペーストを交換すると、ノートPCの温度が下がり、より効率的に動作します。これが結果的に性能向上につながることもあります。ただし、直接速くするわけではなく、オーバーヒートによる速度低下を防ぐ形です。

サーマルペーストで性能はどれくらい向上しますか?

状況によって変わります。高品質なサーマルペーストを使えば、CPU温度を大きく下げてスロットリングを防ぎ、最適な性能を維持できます。実際の効果は、ペーストの品質、CPU、冷却システムなどの要因によって異なります。